ある日、一羽の欲張りなメス鳥が群れから離れ、人の住む町へ食べ物を探しに行くと、道に米や豆などがたくさん落ちているのを見つけました。メス鳥は目を輝かせてそれをついばみ満腹になると、こんなことを考えついたのです。
「こんないい場所を仲間に教えることはない。ご馳走(ちそう)が減らないよう『あそこは恐ろしい馬車が走っていて危険だから、近寄らないほうがいい』と言うことにしよう」
そうしてメス鳥は群れに戻り、いつものように皆と今日のできごとについて話し合いました。そして自分の番が回ってくると、町で食べ物を見つけたことを話し、最後にこう付け加えたのです。
「でも、決してあそこへ行ってはいけないよ。自分の命を落としに行くようなものだからね」
他の鳥たちもこの言葉を信じて、深くうなずきました。
次の日、メス鳥はまた一羽で町へ出かけ、道に落ちている米や豆を食べ始めました。目の前のご馳走に惑わされ、すっかり注意深さを失っていたその時です。勢いよく走ってきた馬車にひかれ、ついに命を落としてしまいました。
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