あたり一面、見渡す限りの仏さまを前に、お釈迦(しゃか)さまは法華経(ほけきょう)を修行する功徳(くどく)を説かれました。
「私の寿命が無限であることの意義を理解し、私の慈悲(じひ)を信じ切ることができれば、何度も生れ変わって『布施(ふせ)・持戒(じかい)・忍辱(にんにく)・精進(しょうじん)・禅定(ぜんじょう)』の『五波羅蜜(ごはらみつ)』を修行して得られる功徳より、その功徳は何千倍何万倍も大きいのだ。きっと私と同じように、あなたたちの目にも、この娑婆(しゃば)世界が浄土と映るであろう。
法華経の教えを守り、常にその教えのとおりに暮らすなら、それはもう寺を立てたり僧侶に供養するのと同じこと。また法華経のありがたさや教えの内容を人に伝えたり、『共に法華経を信じ暮らしましょう』と勧めることは、私が無限の過去から今もしていることと同じ『慈悲の実践』に値する。だから私と同じく最高の智恵を得ることができるのだ。
最高の智恵とは法華経のことで、その慈悲の深さ、広さに感激すれば、必ず行動となって現れる。よってあなたたちは必ず他人に法華の信仰を勧め、聴いた者も感動してまた別の人に勧めるであろう。
このように法華経を伝え伝えて五十番目に聴いた人でも、やはり大きな感動を得る。例えば想像もつかないほどの財宝を布施(ふせ)し、さらにその相手を仏法をもって指導し、阿羅漢(あらかん)の位にまで至らせる者がいたとしよう。だがそれによって得られる功徳よりも、五十番目に法華経を聞いた人の功徳の方がまだまだ大きいのだ。
たった一人に法華経を聴きに行かせるだけでも、それほどの功徳がある。ましてや一心に法華経を聴いて自分でも読誦(どくじゅ)し、大勢の人のために解説して、教えのとおりに修行する人の功徳は、どれほどに大きいであろう。
その人は人相が優れ、病気をしないというだけでなく、今度は体の機能も良くなっていく。そして普通は気の付かないようなことでも正しく理解し、正しく語ることができるようになるのだ」。
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