仏さまのこばなし

いつそば「我聞の章」

やさしい法華経物語

グリトラクータ童話

　もちろんこのほかにだって、ちゃんと自分の家で暮らしている人はたくさんいました。

　人は一人一人、みんなちがいます。顔の形も、走る速さも、食べ物の好ききらいも、背の高さも…。

　だから早くりっぱな心になるのにも、おシャカさまといっしょに暮らしていたほうがいい人や、自分の家で暮らしていたほうがいい人なんかがいるわけです。

　けれども自分の家で暮らしている人だって、やっぱり広場へ出かけていくのです。そして男の人でも女の人でも、仲よくおシャカさまのお話し聞いていたのでした。

　さあ、今日もおシャカさまのお話が始まるようです。いつものようにグリトラクータ広場は、いろんな人たちでにぎやかになってきました。ソーギャホームに住んでいる人、自分の家に住んでいる人、男の人、女の人…。本当にたくさんの、本当にいろいろな人たちが、この広場に集まってきました。

　おやおや？人間ばかりじゃありませんよ。不思議なことに、おおぜいの神さまたちまで集まってきました。そうです。神さまだっておシャカさまのお話を聞いて、もっとりっぱな心を持ちたいと思っているのです。

　お話を聞きにくる人たちの中には、「自分がおシャカさまと同じ心になるだけではいけない」と思っている人もたくさんいました。そして、おシャカさまから教わったことを、ほかの人たちにも一生けんめいに伝えようとしていたのです。だからこの人たちの心は、世界一りっぱな心にずいぶんと近づいてきていました。