来月はお盆。関西などでは8月にはいると、町中でひんぱんにお坊さんの姿を見かけることになる。
それにしても今年は、例年にない猛暑だ。すでに今月始めのお参り先で、皆さま異口同音に「お上人、厳しい暑さですなぁ」とおっしゃる。夏は暑いものと決まりきったことではあるが、人間はどうしてもその暑さを疎(うと)んで「暑い、暑い」と言い続ける。
そこで私は、お参り先で「暑いですねぇ」ときたら、いつもこう答えることにしている。
「この暑さが、秋の快適さを教えてくれますね」
実りの秋の、快適な気候を感じさせてくれる夏も、喜びの春を、清々(すがすが)しく感じさせてくれる冬も、みな同様にありがたい。こう考えることが、私たちにとって大切なことだと思う。
「極楽は西にもあらず東にも、来た(北)道さがせ、みな身(南)にぞある」
心の持ち方一つで、夏や冬の厳しさもありがたく思えるものだ。それと同様に、自分の身に起こるつらいこと、悲しいことも、考え方一つで「よかった」と思えることがある。いやしの地を、自分が今いる場所以外にいくら求め続けようとも、本当の安らぎはやってこない。
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