ひと昔前の超能力・霊能力ブームにとどまらず、不安定な世相を反映してか、現在でも風水や陰陽師・心霊現象といったキーワードをよく目にする。さすがにMr.マリック氏による巧妙な奇術「超魔術」が登場してからは、何も使わずタバコに火をつけたり、そのタバコを百円玉に通したりするくらいでは、超能力・霊能力とまで宣伝するのはおこがましい時代になったが……。
それはともかく、霊界と行ったり来たりでき、霊界のことは何でも分かるという芸能人や、先祖の霊が乗り移り、先祖のことは何でも分かるという教祖さまには、切実なお願いがある。霊界の死者から、迷宮入り殺人事件の真犯人を教えてもらってほしいのだ。
実のところ、警察の依頼によって捜査に協力する霊能者も存在するらしいが、その能力が本物なら、私利私欲のためでなく、是非とも世の中のために役立てていただきたいものだ。
仏教でいう「末法」の世である現代には、神通力を持った目連尊者のような方は、そう簡単に出てこないだろう。私たち凡夫は、お釈迦さまの教えの通り生きて行くしかない。ただしその教え「妙法」とは、形だけのものではない。不可思議(思慮を超越した至上の教え)の法なのだ。
これを信じ受け入れた時、私たちはテレビで見る派手な超能力以上の能力を、自然に身につけることができると言えるのではないか。皆が自分と他人、そしてあらゆる環境の成り立ちと働きを理解できたなら、その時はもう超能力に頼らねばならないような問題を起こすこともなくなるだろうから。
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