「それ見たか、常が大事だ大晦日(おおみそか)」
この間までお正月だと思っていたのに、もう来月は12月。いかに毎日をウカウカと過ごしていたことか。
あれが欲しい、これが欲しい。怒ったり悲しんだり、悪口を言ったりグチったり。「良いことだから」と迷惑も考えずいらぬ世話をしてみたり……。そうして私たちは、ついつい悪い種をまき散らして、自分自身がその報いを受けていることがある。
善いことも、悪いことも、そのエネルギーは種=因(いん)となって人々の心の中に染み込む。例えば雨水には、川になる水と、土に染み込んでいく水があり、好き勝手に森林を伐採(ばっさい)すると、豪雨によって染み込んだ水は、やがて鉄砲水となって山野を破壊する。それと同じように、私たちも他人に対し怒りの種を植え付け、時として火山のように恐ろしい怒りをこうむることがあるだろう。
仏さまは、このようにさとされた。
「お前たちは真理を学ぼうとせず、悪因縁のままに過ごすから、苦しみの大海の中で浮き沈みをしているのだ。おごり高ぶったり、怠け心をだしたり、とらわれの心を持つことなく、因縁の次第(しだい)を学びなさい」
しかし私たちは、知らず知らずの内に、ちょっとした態度や言葉づかいのせいで、人を傷つけてしまうこともある。だからこそ、懺悔(さんげ)による自己反省と方向転換が大切なのだ。
「小罪なれども懺悔せざれば悪道をまぬがれず。大逆(だいぎゃく)なれども懺悔すれば罪きえぬ」
日蓮聖人はそうご教示されている。
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