lotus column 心の便り by Koushun
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 毎月二十三日は「フミの日」として、便りを書くことが奨励されている。手紙を書くのがおっくうに感じる人でも、便りをもらって開封する時の、あの嬉しさは格別だろう。たとえ葉書に数行であっても、やはり心温まる便りは最高。電話では味わえない、人の心と心をつなげる言葉のごちそうになる。

 昨今は携帯電話や電子メールが使われることも多いが、やはり直筆の手紙には、より心がこもっているように思える。

 日蓮聖人は、著作の他にも多くの御消息(ごしょうそく=手紙)をしたためられ、その数は四〇〇篇をゆうに越える。

 ある時、身延の聖人のもとに、故郷の千葉県安房小湊(あわこみなと)にて旧恩のある領家の尼と新尼(にいあま)から、御本尊を授与して欲しいとの手紙とともに「あま海苔(のり)」が届けられた。山深い身延でのご生活の中、届いた海苔に故郷を懐かしく思い起こされたことだろう。そして聖人は、故郷への想いと贈り物に対する丁寧なお礼を返信されている。

 しかし御本尊については「龍口(たつのくち)法難後に一度退転した領家の尼には授与できない」と厳格なご返事。故郷の人々への愛情は非常に暖かなものだったが、人情より法華経への信心を重んじることで、恩ある人に心から報いたいというご姿勢を貫かれた。その狭間で、日蓮聖人も少なからず苦悩されたのではと思うと、身の引き締まる思いがする。

 美しい言葉・厳しい言葉・心温まる言葉・激励の言葉・感謝の言葉……。それぞれが、人の心と心を結ぶフミなのだ。

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