「あ〜どっこいしょ」

　ついつい言ってしまう言葉ではないだろうか。年をとるごとに、言う回数が増えたように思える。

　この言葉、もともとは仏教用語で「六根清浄（ろっこんしょうじょう）」からきている。昔の人は、山登りの時などに「お山は晴天、六根清浄」と唱えながら山頂を目指した。

　六根とは、眼・耳・鼻・舌・身・意の働きのことで、眼は不浄を見ない、耳は不浄を聞かない、鼻は不浄を嗅がない、舌は不浄を味あわない、身は不浄に触れない、意（心）は不浄を思わないで、身も心も無垢清浄（むくしょうじょう）、つまり欲も迷いも断ち切って清らかになろうという祈りの言葉が六根清浄。それがいつしか六根浄となり「どっこいしょ」となった。

　世間には「善は急げ」「思い立ったが吉日」といった諺（ことわざ）がある。だが逆に「どっこいしょ」と一旦腰を落ち着け、欲や迷いのない心境になってから行動した方が、よい結果につながる場合もあるのでは？