漢字の「楽」を皆さんは何と読むだろう。
一番多い読み方はラク(たのしい)で、次にはガク(かなでる)。しかし、まだ「ギョウ」という読み方がある。日頃用いられることはなく、現在では聞きなれない音になったが、法華経には「願う・求める・好む」等の意味でしばしば出てくる。
日蓮宗の檀信徒が朝夕のお勤めで読誦する「お自我偈」の中にも、それら三つの音がそれぞれの意味ですべて使われている。「恭敬信楽者」は「くぎょうしんギョウしゃ」、「衆生所遊楽」は「しゅじょうしょゆうラク」、「常作衆伎楽」は「じょうさしゅぎガク」。
このように一つの漢字であっても、意味が異なると音も異なって使われることがある。お経の一字一字に注意を払いながら読誦することが、仏さまの御心を拝することになるのだ。
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