二〇〇九年のフィギアスケート・グランプリシリーズを制したのは、韓国のキム・ヨナ選手だった。ミキティこと安藤美姫選手は、ショートプログラムでは首位に立つも、フリースケーティングでは残念ながら逆転されてしまった。
しかし、キム・ヨナ選手も完全に納得した勝利ではなかったようである。シリーズ中、ほぼ完璧な仕上がりを見せていたショートプログラムを、肝心のファイナルでミスし、初戦でたたき出した驚異的な点数二一〇・〇三点を大きく下回ってしまったからだ。
しかしながら、このようなことはしばしば起こってしまう。同じくキム・ヨナ選手が、第五戦のショートでは歴代最高の七六・二八点を出すも、ファイナルではミスが目立ち、一位にこそなりはしたものの、点数自体は二位の選手を下回ってしまった。良い緊張感を保ち続けることは、トップアスリートにとっても容易ではないらしい。
緊張感はしばしば弓の絃(つる)に喩えられる。緩めるとたわむし、張りすぎると切れる。「丁度ええ緊張感」(by二丁拳銃)で、ミキティにはバンクーバーを制してもらいたいものである。
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