毎朝、小学校の正門前に校長先生や地域のボランティアの方々が立ち、「おはようございます」と子供たちに声かけをしている。しかし、掲げられた「元気にあいさつ」という横断幕に反して、黙って通り過ぎるだけの生徒も多い。

　先日、檀家さんの住むマンションに入ろうとした時、初めて清掃をしていた方に出会い「こんにちは、ごくろうさんです」と声をかけられた。私も思わず小声で挨拶を返したが、それ以後、知らない人に対してもこちらから挨拶をするようになった。

　そもそも挨拶とは、身分や立場とは無関係のもので、お互い様々な人のお陰で生きていることを自覚し合う、かけがえのない機会なのだ。そうして人が心と心を通わせる行為は、する方もされる方も大変気持ちがいい。

　挨拶とは、相手が自分にとって大切な人であると伝え合う手段ともいえる。出逢う人すべてに仏様の姿をご覧になり、ひたすら礼拝を捧げた常不軽菩薩（じょうふきょうぼさつ）のように、お互いが拝み合う世の中であってほしい。