人に生まれると、根本的な生・老・病・死の四苦に、さらに四つの苦を加えた「四苦八苦」にさいなまれる。
まず二つは、求めても得られない求不得苦(ぐふとっく)と、体と心が思うようにならない五蘊盛苦(ごうんじょうく)。後の二つ、愛する人や物といずれは別れなければならない愛別離苦(あいべつりく)と、反対に嫌な人や物とも会わなければならない怨憎会苦(おんぞうえく)は、相手があっての苦しみと言える。
世の中、なかなか思うようにいかないものだ。会いたくないなぁと思っていた人ほど偶然に出会ってしまう。そして、いつまでも一緒にいたいなぁと思っているのに突然の別れが訪れることもある。
五年前、東日本大震災が起こった。想像を遥かに超えた災害に、多くの方が愛別離苦を経験された。今でもまだ立ち直れず、癒されない方々がたくさんおられるだろう。「人の寿命は無常なり」との言葉通り、改めて人生の儚さを痛感する。
儚い生命、限りある生命だけに、今日の「いのち」をどのように生きて行くかを、もう一度よく考えたいと思う。
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