lotus column 心の師 by Chijo
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 若き日のお釈迦さまは、古代インドの小国・釈迦族の王子であった。世の無常を憂い、体調を崩すまでに思い悩む性格の王子に対し、父王は老いや病いを直視させないよう、若くて健康な男女ばかりをそばにひかえさせたという。季節ごとに過ごせる宮殿には常に花の香りと音楽が流れ、城外への興味を反らせる趣向に満ちていた。

 それでも王子の眼差しは、外の世界へと向けられていた。四つの門から出てそれぞれ見たものは、生老病死という恐るべき現実。心の底から湧き上がる大きな願いに動かされ、王子は夜中に城を出るや救いの道を求める。

 父王や一族の願いに反し、妻子まで置き去りにするなど、許されざる親不孝であり裏切りに思える。しかし継ぐべき王位も生活も一切捨てて、真理を悟り仏陀となったお釈迦さまは、このようなお言葉を残された。

「三界の中に流転して恩愛断つこと能(あた)わずとも、恩を棄て無為(むい)に入らば真実の恩に報いる者なり」

 世間の恩愛は断ち難く、家族の交流は誰もが是認するところだろう。ただし情愛の支配に溺れた時、人は成長を遂げられず苦悩する。そのような因果関係を超えるのが「無為」の境地だ。お釈迦さまは、肉親や家族のみならず人々の苦悩を除くため、仏法によって一切の恩に報いるべきとされた。「心の師とはなるとも、心を師とせざれ」とは、情愛を制御することである。

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