自在生活ノススメ |伝統と改革 by Takochan

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 Tradition〈トラディション=伝統・伝承・しきたり・言い伝え〉。どこかいにしえの香りただようこの言葉が、私は好きです。

 重厚でいて温かみがあり、そして、時代に迎合するような浮薄(ふはく)な感じがなく、それがまた安心できるのかもしれません。しかもその言葉の響きには、幾重にも重なる先人に刻まれた歴史が、今も脈々と流れ続けていることを感じられるからです。

 伝統、それは時代の流れの中で幾多もの淘汰と補完を繰り返しながら生み出され、種々の文化に影響を与えてきました。

 時に人々は、この伝統という壁に目の前をさえぎられ、それを乗り越えようと必死にもなりました。十七世紀後半にイギリスで起こり、十八世紀後半にヨーロッパで全盛に達した啓蒙思想などは、その代表的なものでしょう。当時の啓蒙主義者がキリスト教会の伝統的権威主義を批判し、迷信や因習の打破を訴え、人間的・合理的思想を唱えて、後のフランス革命に大きな影響を与えたことは有名です。

 因習に固執したTraditionalisme〈トラディショナリズム=伝統主義〉は、皮肉にもその伝統故に批判を生み、啓蒙主義に取って代わられました。伝統に居座ることがはからずも怠惰(たいだ)を生み、果ては権威主義におちいりがちなのは、世界の史実が証明しているところです。

 移り行く時の流れの中で、何が真実で、何が真実でないのか。それを見つめるのをやめてしまった時、伝統という二文字は必ずや瓦解することでしょう。伝統を固守することも伝統なら、そこに新たな一ページを加えることも、また伝統と言えます。つまり「改革」の二文字を通して伝統を再構築していくことが進歩であり、発展であり、また向上なのではないでしょうか。

 もちろんその改革が「改悪」であった場合、淘汰されることもまた歴史の示すところでしょう。しかし改革によって伝統を蘇生させる術を磨かなければ、自らが淘汰の対象となることは間違いありません。時代は我々が思っている以上の早さで変化しているのです。

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