自在生活ノススメ |やわらか頭 by Taiko

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 「こおりどうふ」ってご存知ですか?豆腐を凍結・乾燥させた食品のことで、凝(こご)り豆腐・凍(し)み豆腐、あるいは紀州(和歌山)の高野山で作り始めたとして「高野豆腐」とも呼ばれていますね。一般には、この名で知られているようです。

 私は学生時分に六年ほど東京のお寺にいましたが、この高野豆腐が食卓に並ぶことは滅多にありませんでした。別にそこのお寺の住職が高野豆腐を嫌いだったわけではないでしょうが、聞くところによると、生産量の五割が近畿圏で消費され、関東の消費量は一割に満たないとのこと。どうやら、関東圏では高野豆腐は一般的でないようです。

 そういえば、大阪の巻き寿司には高野豆腐が使われていますが、たしか東京の巻き寿司には使われていなかったような気がします。以前、東京の友人が大阪に遊びに来た時、巻き寿司を食べ、高野豆腐の存在に驚いていたのを思い出しました。

 さて、この高野豆腐は固いままでは食べることができません。いや、食べることができないというか、恐らく食べる人はいないと思うのです。固いままでは、おいしくも何とも無いはずです。ほとんどの場合、一般的な食べ方として、甘みの多い含め煮にする食べ方が多いでしょう。

 ところで「かたい」といえば「かたい頭」なんてどうでしょう。世の中には「かたい頭」の人がいますね。もちろん質実剛健(しつじつごうけん)にこしたことはないと思うのですが、ただ単に「かたい」だけではちょっと困りますね。何でも杓子定規(しゃくしじょうぎ)で測ったようにものごとをとらえてしまう人。黒といえば黒、白といえば白の人。まるで融通のきかない人。何年か前にどこかの企業(金属など堅いものを扱う企業だったと思いますが)が「やわらか頭」なんてキャッチコピーを使っていた記憶があるのですが、人間の頭も「かたい」よりかは「やわらかい」方が良いような気がします。

 もちろん「かたい頭」同様、ただ単に「やわらかい」だけでは、無節操(むせっそう)で思慮分別(しりょふんべつ)に欠けるような感を受けますね。ここで私がいう「やわらかい頭」とは、物事の道理をわきまえ、その時々に応じた的確な判断ができる頭のことで、柔軟な考え方、あるいは多角的に物事を見ることのできる頭のことです。

 人は様々な知識を身につけて成長していきます。それに伴って、その知識を使いこなせる知恵も身につけなければなりません。言い換えれば、知識が豊富でも知恵がなければ意味が無い、とでも言えるでしょうか。

 たとえ知識が豊富であっても、その知識を時折々に応じて使いこなせる知恵がなければ、その知識は不要の長物であって、何ら意味を持たないものになります。材料や道具をたくさんそろえたところで、その材料や道具を使うこと、あるいは使いどころを知らなければ、意味がないのと同じことでしょう。

 豊富な知識を持ち、それを充分に使いこなせる知恵を持ち合わせている人が「やわらか頭」であり、「自在生活」を送れる人だと思います。

 ところで、最後にお尋ねいたします。雪や氷が溶けると何になりますか?「水」と答えられた方、正解です。決して間違いではございません。雪や氷は溶けると水になります。でも、私の考える「やわらか頭」の「自在人」は、きっとこう答えてくれるはずです。

「雪や氷が溶けると、春になるんだよ」

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