自在生活ノススメ |魂にパンカイ by Shojoji

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 皆さんは「パンカイ」って、何の事だか分かりますか?

 (1) パンを買いなさい。
 (2) パンかな?

 どちらも違います。実は、二歳になった私の娘がお茶やジュースを飲む時に発する言葉、そう「乾杯」のことなのです(笑)。飲み物に限らずお菓子やアイスクリームの時も、何度「かんぱい」だと教えても「パンカ〜イ!」。しかし二歳の子のすることですから愛敬があって可愛いし(メチャ親ばか)、外食時は隣のテーブルの人達(特に若い女性)にウケがいい。

 ところでこの乾杯、今ではお酒の席で常識といえるほどの習慣ですが、その起源は江戸時代にまでさかのぼります。

 安政元年(1854)に締結(ていけつ)された「日英和親条約」の約款(やっかん)を補足するため、イギリスから特派使節一行と共に来日したエルギンという人が、会談後の晩餐(ばんさん)の席で「イギリスでは元首の健康を祝して杯を交わす習慣があるので、ここでもそうしたい」と提案しました。すると幕府側の井上信濃守という人が、会話が途切れて静まり返った時にいきなり立ち上がり、高い声で乾杯をしておごそかに着席したのです。これには参加者一同も耐え切れず、どっと笑い出しました。この出来事以来、日本の酒席に乾杯が根づいたといわれています。

 もう一つ、酒席で欠かせないのが「返杯」で、こちらは逆に、外国人にはなかなか理解されない習慣なのだとか。日本人は昔から、事あるごとに一つの壷(つぼ)に入った酒を一緒に飲むか、同じ杯を使って酌み交わしました。そこには互いの魂の交流させる意味があり、自分の魂を贈る意味で酒は贈答品にも使われます。結婚式の三三九度も、他人同士が擬制の血縁関係を結ぶ儀式ですね。

 実は私、お酒が体質的に合わずほとんど飲めません。でも、酒の席にはちょくちょく出没します。もちろん最初は皆と乾杯、ビールでコップ半分を飲み干し(この時点で顔は発火寸前)、時にはお酒を注ぎに回ります。ただ少し困るのは、返杯をしてもらっても飲み干すことができないこと。しかし、注ぎに行って話をすることが楽しく、また大切なことではないかなと最近思います。

 お世話になっている人、先輩・後輩・友達など、お酒の席には色んな人がいます。飲めないから注ぎに行けないというのは、少々寂しい気がします。注ぎに行った気持ちを酌んでもらい、心の交流ができれば、それが返杯の意義に通じるのではないでしょうか。酒の力を借りた時だけ本音を言うのではなく、酒席を媒介として、お互いがその後も本音で向き合うきっかけとなれば素晴らしいことですね。

 ちなみに私は毎晩、娘と晩酌(ばんしゃく)をしています。時にはお茶、時にはヤクルトや牛乳で「パンカ〜イ!」。

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