いつそば「観心の章」 |
お釈迦さまは「如来の秘密・神通の力」=眼には見えない、仏の奥深く勝れた力を説き明かされます。
「一切の人々は、私がインドに生まれて出家をして悟りを開き、やがて入滅すると思っているが、真実はそうでない。とても計り知ることができないほど、遙か久遠の過去に悟りを得て以来、私は常にこの娑婆世界で法を説き、数え切れないほど大勢の生きとし生けるものを教化して、仏の道へと導いてきたのだ。 しかし、いつも私が姿を見せていると、みな依存心を抱いて自身の修行を怠(おこた)り、賎(いや)しい心から様々な欲に執着するようになるであろう。だからこそ如来は方便として入滅する。そして衆生は、会い難い仏を慕い、渇仰(かつごう)の心をもって修行に励むのだ」 こうしてお釈迦さまは、仏の寿命と導きが永遠であると明かされ、時を超えて一切の生きとし生けるものを救うことを示されたのです。 お釈迦さまは方便によって姿を隠されますが、本当はいつでもここに居られます。本心から仏を敬い、仏の慈悲に抱かれていることを信じ、自ら人を導くべき活動を起こしたならば、どこに居ようとも、お釈迦さまが今も私たちに法華経を説いて下さっている姿が見えると……。 たとえ私たちが気づかない間でも、仏さまは私たちのことを常に想って下さっています。どのようにして私たちを正しい道に導き入れ、一刻でも速く仏の身を成就させることができようか。これがお釈迦さまの悲願なのです。 |