のほほん評判記 |アダルト・チルドレン by Chijo

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UFO通信

のほほん評判記

image 著者/西山明
発行/三五館
価格/1,500円

 私たちは、皆それぞれ別の意識を持っている「一個人」だ。だがそれと同時に日本社会の中の一員であり、大きくは世界全体の中の一員でもある。

 そうした入れ子細工式の環境の中で、最も小さく、基盤となる社会に位置するのが家族。特に親子関係の中では、育てる側と育てられる側の双方が、不慣れな情況において、手探りの人間関係を育んでいかねばならない。だからそこには、しばしば誤解が生じてしまう。お互いが相手にも一個人としての感情があることを、忘れ去ってしまう時があるのだ。

 育てる側の歪(ゆが)んだ個人主義が誘発(ゆうはつ)する、育てられる側の自己崩壊(ほうかい)。それがアダルト・チルドレン=大人びた子供を社会へ生み出していく。

「夫婦関係が壊れるようなけんかの翌日に、何事もなかったように従順(じゅうじゅん)な母や、温和(おんわ)な父を演じているのが、アルコール依存症者とその配偶者の夫婦です。この激しい変化が、子どもに『世の中はまやかしで成立している』という誠実さを欠いた世界観を与えてしまう。本音を口に出したり感情を表に出したりすると、世の中は混乱して大変になると考えるわけです。そのため子どもは、自分の主張や感情を殺して生きるという癖(くせ)を身につけます。同時に親の期待を読みとって、それに沿って生きようとする。その結果、従順すぎるほど『いい子』になることが多い」

 アダルト・チルドレンを生み出す条件は、何もアルコール依存症の親を持つという、特殊な環境だけではない。自分の思い通りにならないと、極端に感情的になって暴力をふるう親。ひいては現代における情報過多の環境と、それに翻弄(ほんろう)される大人の行動こそ、すでにまやかしで成立した現実の姿をまざまざと子どもに見せつけている。そしてその子ども達は一体どんな人生を歩んでいったのか。

 これはフィクションでもなければ、人ごとでもない。

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