のほほん評判記 |
昔のお経本で、ひとつひとつの字の下に、ひとつひとつ蓮華が描かれたものがあります。仏像の台座と同じ意匠の蓮華です。一一文文是真仏(いちいちもんもんぜしんぶつ)―ひとつひとつの文字が仏という事をあらわした表現ですね。 開経偈でいえば「色相の文字は即ち是(こ)れ応身(おうじん)なり」という部分がそうで、仏がその時々に応じて姿を変えて現れた、という意味です。 ではそのお経を唱えるとは、どういった意味があるのでしょう。日蓮聖人の御遺文には「胸の間は諸仏入定(しょぶつにゅうじょう)の処(ところ)也。舌の上は転法輪(てんぼうりん)の所、喉(のど)は誕生の処、口中(こうちゅう)は正覚(しょうがく)の砌(みぎり)なるべし」とあります。 「お経には何が書かれているのか」 檀家の方によく質問されます。一偈一句(いちげいっく)に意味があり、教学的解釈がありますが、あまりこだわらずに本を開いてみるのはどうでしょうか。 本書は汎仏教的な姿勢で編集されています。右頁上段には鳩摩羅什(くまらじゅう)訳「妙法蓮華経」が漢文のまま掲載されており、下段には同じ部分の書き下し文。左の頁にはサンスクリット語から直接翻訳した邦訳が載せられています。注釈が充実しているので辞典を引く手間がかなり省けます。 「お経には何が説かれているのか」 一度ご自分で読み、確かめてみるのはいかがでしょうか。 |