のほほん評判記 |異神 -中世日本の秘教的世界- by Kaijo

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UFO通信

のほほん評判記

image 著者/山本ひろ子
発行/平凡社
価格/7,350円

※ちくま学芸文庫版(上下巻・各1,470円)もあります

 かなりあやふやな記憶ですが、学生の時に身延山久遠寺の祖師堂裏で、後ろ戸の棚の閉ざされたお厨子(ずし)を指して、当時の山務のお上人が摩多羅神(まだらじん)だと話されていたのを覚えています。今となっては話の正当性や出典を確かめる術はありませんが、その不思議な音韻(おんいん)を持つ尊格の名は、いつまでも頭に残っていました。

 正式な出自の経典がなく、当然のことながら正式な儀軌を持たない尊格。具体的には三十番神の中の一尊である赤山明神、冒頭の摩多羅神、大黒様の眷属の七母天、弁天様と習合(しゅうごう)した宇賀神(うがのかみ)、疫神(やくじん)としての牛頭天王(ごづてんのう)といった聞き慣れない神仏の信仰形態を、中世の、しかも口伝法門(くでんほうもん)として厳重に秘匿(ひとく)された教義を、現在に残る古文献を解析してその本質に迫る労作です。

 摩多羅神については、比叡山の常行三昧堂(じょうぎょうさんまいどう=念仏三昧堂)の後ろ戸の神ということですが、法華三昧堂が併設あるいは兼ねる場合もあったようですから、中世の御堂の形式としてあったのかもしれません。また、当時の山務のお上人の、推測のお話だったのかもしれません。

 その内に本山にお参りする機会があれば、お厨子の中を確かめたいところですが、最近は「秘されたままの方がよいか」とも考えています。

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