のほほん評判記 |
小学生の時に僧風林(そうふうりん)で祖伝の時間に四箇格言(しかかくげん)を習って以来、他宗のことになると反射的に思考を閉ざしがちでしたが、大学生の頃からどうも気になって仕方がない。しかし、本宗の教学もままならない状態なので、興味の赴くままに本を手に取る生活を続けてきました。本書は、その延長線上にあるものですので、八宗の奥義を、といったこともなく、実に気楽な読書生活です。 著者は、臨済宗の僧侶で、著名な作家です。本書はその著作の中でも、最も肩の力が抜けた一冊です。僧道修行の頃の思い出を汎仏教的な視点から軽妙に語ったもので、宗旨は違っても、本山という修行の場で用いられる先輩と後輩を規定するシステムは同じなんだと、妙なところで納得しました。本山での、真摯だけれども愚かで懐かしい日々ですね。 それとはまた逆に、禅僧ならではの教えや世界観、習慣も紹介されていて、興味深くもあります。なぜ、彼らは座り続けるのか?朝、顔を洗ったり、トイレを使ったりするのに、なぜそこまで細かい作法が必要か? 表題の「ベラボー」とは、非常識なという意味らしいのですが、一般的な尺度にとらわれない禅僧らしいものの見方、考え方を教えられ、楽しく読了。 |