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 拙僧が行堂に入っている間に世界は大変な様変わり、正に驚天動地の大騒ぎであったらしい。

 ポーランド・ハンガリーを初めバルト三国など、妙な動きだと思っていたら、あっという間に東欧諸国が雪崩のごとくに共産党独裁を捨ててしまった。これにはソ連のゴルバチョフの自由化政策が大いに力を添えたのだろうが、そのソ連にしてからが東欧諸国を押え込んでおくだけの経済力が無くなっていたのだから当然だと言えば当然なのだろうが、拙僧も正直驚いた。もっと時間がかかると考えていたのだ。

 ともあれ、自由主義者・アンチ共産主義者にはおめでとうと申し上げ、仇敵を仮想していないと日々の生活に張りの無くなる人々、また自衛隊増強、果ては再軍備を進めそれによって儲けようと思っていた人々には「残念でした」と申し上げておく。

 マルクス、エンゲルスの思想の功罪、ソ連を初めとする社会主義国家の功罪について一応の結論が出るのはまだまだ先のことになろうが、当面思いついたことだけを書いてみる。

 先ず功の方から。一つは計画経済の考え方が一部採用されたことが挙げられる。これによって国の経済活動の無駄が少なくなった。二つ目は福祉政策の増進であり、弱者救済の道が広くなった。三つ目は私企業に対し公権力が積極的に援助できるようになり、十万人単位、百万人単位の失業を防ぐことができるようになったこと。(百万人単位とは大袈裟な、と思った人は『縁』と言うことが解っていらっしゃらない。一大企業の倒産が、数十・数百の中小零細企業の倒産につながるのは確実であり、たちまち百万人単位の失業者が出てしまう。この世は『縁』で成り立っているというのは、すべてが関係しあっているということであり、一つの事件が他に影響を及ぼさないということはありえない)。現にビッグスリーの一つ「クライスラー社」は政府から莫大な援助を受け、倒産の危機を脱した。アイアコッカー一人の功績のように受け取る向きもあるやに聞くが、彼の自己宣伝に乗ってはいけない。

 これらは三つとも「資本論」がなくとも、ソ連を初めとする社会主義国家が成立しなくとも、いずれ資本主義国家の中から反省として出てくるものばかりであろうが、時期が早まったことは疑いなかろう。

 次は罪の方であるが、独裁を目指す者、搾取(さくしゅ)をもくろむ者に恰好の材料・巧妙な隠蓑を提供したことが挙げられる。まさか「プロレタリアート独裁」の「独裁」に血迷って独裁を目指したわけではないだろうが、少なくとも「諸君がこの国の主人ですよ」とだまくらかすことのできた時期があったことは確かである。資本家のいない、即ちプロレタリアートだけがいる国家においては「プロレタリアート独裁」でないわけはなく、つまりは真の民主主義であると言えるわけで、ルーマニアのチャウシェスク政権に象徴される独裁政権を許してしまったのであろう。

 勿論自由主義社会に独裁政権が無いわけではなく、記憶に新しいところでは、フィリピンのマルコス政権がある。これら両者を詳細に比較検討することにより、独裁一般の、独裁に至る過程や、それを許した側の姿勢等、かなり明らかにすることができると思うが、いずれどなたか有能な政治学者なり社会学者なりが研究なさるだろうから、その成果を待つことにしよう。ただ、一方に他人を支配したい人間がおり、他方に他人に支配されたい人間がいる限り、世に独裁の種は尽きまじ、という至極当たり前の結論しか出て来ないような気はする。

 しかし、独裁に至る心理的・組織論的仕組みが明らかになれば、独裁を防ぐ手立ても考え出されるだろう。今のところ先進自由主義諸国では、結構機能しているように(少なくとも第二次大戦後の約四十年は)見える。

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