UFO通信 |久しぶりの大和路(3) by Ufo

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 次いで西の京へ行ったのだが、西の京のことを書く前に、前回書き落としたことがあるので、それを少しく……。

 三月堂というのは通り名であって、正式には「法華堂」という。ここで、現在どのような修行・法要儀式がなされているのか知らないが、創建当時には、きっと法華経読誦(どくじゅ)等の修行研鑚や、法華経に説かれる理想世界実現を祈る法要儀式がなされたものであろう。

 また、当日は時間の都合もあって行かなかったが、光明皇后の発願によって建てられた「法華寺」という寺もある。別には“法華滅罪の寺”ともいい、法華経の懺悔(ざんげ)思想を実践した寺として有名である。

 つまり法華経の精神は、仏教伝来当初から我々の中に深く浸透しているのかもしれない。

 西の京では、先ず「唐招提寺」ということになるが、ここは特に冬景色が良く似合う。雪でもちらついてくれれば最高である。拙僧は、どちらかと言えば「薬師寺」よりこちらの方が好きだ。若い頃、たまたま雪の日に訪れたことがあり、優美な屋根と、松の濃緑と白雪、という色の妙に感激したことが大きく原因していると思う。

 時間の都合でゆっくり境内を歩くこともせず薬師寺へ行った。ここは写経、というより正確には写論というべきかも知れぬが、とにかくこれで永い間荒れたままになっていた伽藍(がらん)を整備し、面目を一新していた。しかし、青丹あざやかな西塔より、色あせた東塔の方に我々の感覚が向いてしまっていることに気付き、不思議な気がした。

 創建当時はどの堂塔も皆華々しく、それが当時の人々の心を捕えたのであろうが、千数百年を経た現代の人間には、むしろ色落ち風雨にさらされた木の渋い色合いの方が好もしいようだ。その説明として「当時の日本には鮮やかな色というものがなかったからであり、引き換えて現代人は色の流れの中で溺れているからだ」とよく言われるのだが、どうもそればかりではないような気もする。よくはわからぬが……。

 中食の後、もう一つのメイン、斑鳩(いかるが)へ行った。残念ながら「法起寺」「中宮寺」へは行かず、幸田文さんが再建に力を尽くしたという三重の塔で有名な「法輪寺」に寄り、ついで「法隆寺」へ行った。我々関西に住む者にとっては、すぐにも行けるところであり、また逆に「いつでも行けるから」とてまだ行かない人がいるかも知れぬが、いずれにしろ遠い存在ではない。しかし、我友の妻君にとっては遠い存在であったらしく、憧憬(どうけい)にも似た気持は相当なものであったようだ。当日は天気も良く、かなり傾いた陽光に、金堂から眺める五重の塔の美しさはたとえようもなく、古人を偲(しの)ぶに絶好の縁(よすが)だと喜んでいただけた。

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