UFO通信 |カラスが道具を……(1) by Ufo

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 カラスも道具を作り、それを使って餌を採るそうな。いささか旧聞に属するが、2002年8月9日の毎日新聞にこのような記事が載った。さわりだけを紹介すると、

【ワシントン斗ケ沢秀俊】カラスが道具を製作することを英国の研究グループが実験で証明し、9日発行の米科学誌「サイエンス」に発表した。カラスはまっすぐな針金の先端を曲げて、フック付きの餌の容器をつり上げており、研究グループは「道具を作るカラスの能力は、人間以外の霊長類に匹敵する可能性がある」と驚いている。=毎日新聞より引用

 ご感想はいかがなものであろうか。「へぇ〜それは珍しい!」と思った方、「そんなことあり得ないっ!」と憤る方、「やっぱりね、いつか現れると思っていたよ」。いろいろであろう。

 最近の都市周辺に住むカラスたちの行動をよくご存知の方は、大いにあり得ることだと感じられたと思う。「信号待ちで停車中の車のタイアの直前にクルミを置き、車に固い殻を割らせて中の実を食べるカラス」「神社の賽銭箱から百円硬貨だけ(!)を取り出し、境内においてある自動販売機で『鳩の餌を買い』、食べるカラス」。拾いあげればきりがないし、どれも驚嘆させられる。

 さて、上に引いた記事中の「驚き」について考えてみたい。カラスに限らず人間以外の動物たちのこのような行動に驚くのは、その裏に「人類だけに備わった行動である」という思い込みがあるからではないだろうか。

 かつて欧米の動物学者たちは、人類がいかに他の動物と異なっているかを論証するのに熱心であった。というより、人類がいかに他の動物より『優れて』いるかを論証するのに熱心であった、と言うほうが正しいだろう。彼らの論拠の一つとして、いわゆる「智恵」の問題がある。人類は智恵に優れ、他の動物は劣っているというのである。

 一口に智恵といってもその働き方はいろいろだ。そこで学者たちは「道具」に的を絞ったのだ。人類は「道具」を作り使用するが、他の動物は「道具」を作りもしないし使用もしない、というのである。ところが、チンパンジーで道具を使用する例が発見され、大きなニュースになったが、これは同じ「霊長類」に属するものとして、ショックは比較的早く沈静した。その後チンパンジーが簡単ながら道具を作ることもわかったが、それほど大きなショックでもなかったようだ。

 「霊長類」という言葉は、英語やフランス語では「大主教」や「大司教」を意味する言葉と同根であり、分類学上は人類もこの中に含まれる。つまり、「霊長類」以外の動物に比べて優れていることを表す。それで少しはショックも和らいだのだろう。

 しかしこれが「鳥類」となると、ショックはチンパンジーの場合とは少し異なる。その上自然にあるものの中から「道具」として使えそうなものを選んで「使うだけ」ではなく、自然にはない針金を変形して「道具」を「作った」のであるから、ひとしおであるのだろう。欧米の学者たちの思い込みがずいぶん強固なものであることがうかがわれる。

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