いつそば「我聞の章」 |第24話「二千年分のシナリオ」 by Shougyo
話

仏さまのこばなし

いつそば「我聞の章」

やさしい法華経物語

ウッキ〜くん

妙ちゃん

グリトラクータ童話

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 暗い世相が続いている。

 尊きお師匠さまが定められた、人間が決して犯してはならない五つの罪。その中にも「父親を殺す」「母親を殺す」という二つの大罪が含まれているというのに……。家族同士の殺人が報道されるたび、暗澹(あんたん)とした気持ちにさせられ言葉を失ってしまう。

 私の名は阿難(あなん)。今日もお釈迦さまの織りなす光と風の世界を旅している。そして一人でも多くの方が、一刻も早くこの素晴らしい世界の存在に気づいてくれることを祈らずにはいられない。もっとも、すべての生きとし生ける者は、もともと「光と風の世界」すなわち「浄土」の住人なのだが……。

 お師匠さまは「私がこの世を去った後二千年が経つと、私の教えが忘れ去られ乱れた時代に入る」と予言された。しかしそんな時代こそ、皆が再び浄土の住人であることを思い出させなければならない。そのためにお師匠さまは、その時代「末法」に全権大使を派遣されたのだ。

 ならば、末法に入るまでの時代に遣わされるお弟子たちはどういう方々で、お師匠さまからどんなお役目を授かったのか。

 お師匠さまは、ご自身がお亡くなりになってから二千年の間、つまり末法の時代を迎える以前には、法華経を説いても信じない者に「余(よ)の深法」を説いて段々に法華経へ導き入れるようにとご教示下さった。

 余の深法とは、例えば人としての生きる道をまったく持たない人、その日一日食べられればそれでいいと思っている人。そんな人にとっては、倫理道徳ですら深い教えになるだろう。

 また倫理道徳からすれば、それよりも深い教えを説く宗教があり、さらに仏教の初門である小乗仏教はより深い教えとなるだろう。そして、それ以上に深い大乗仏教、さらに深い法華経の教えがある。

 もちろん、尊きお師匠さまの教えの中で、法華経こそが最勝にして究極の教えだ。ただし末法という時代に入るまでは、浅い教えから段々と深い教えへと導き、最後に法華経の世界に導き入れるという教化方法を、お師匠さまは観世音菩薩さまや薬王菩薩さまたちに委嘱された。

 そして末法に入れば、お師匠さまの全権大使「本化(ほんげ)の菩薩」さまが、尊きお師匠さまの悟りと救いのすべてを「南無妙法蓮華経」の七文字に包んで、これを一切衆生に伝えるため命がけの導きを展開される。

 すべての仏さまを統一するお釈迦さまの、五十年のご説法の結論である法華経の本論は、ついにここで結びを見ることになったのだ。

妙法蓮華経「嘱累品第二十二」より/つづく)

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