いつそば「我聞の章」 |最終話「光と風の世界」 by Shougyo
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仏さまのこばなし

いつそば「我聞の章」

やさしい法華経物語

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妙ちゃん

グリトラクータ童話

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「そらや愛やりんごや風 すべての勢力のたのしい根源 万象同帰のそのいみじい生物の名」

 私が生きた時代から二千八百年の後、日本の宮澤賢治という方が「妙法蓮華経」の世界をこのように表現された。私の名は阿難(あなん)。そんな世界の旅も、いよいよ今日で終わりの時を迎える。

「能く是(こ)の経を持たん者は、諸法の義・名字及び言辞に於て楽説窮尽(ぎょうせつぐうじん)なきこと、風の空中に於て一切障碍(いっさいしょうげ)なきが如くならん」=「尊きお師匠さま亡き二千年の後、お師匠さまよってに遣(つか)わされた全権大使が教えを人々に伝えようとする時、空ゆく風が何ものにもさえぎられないように、その本意を自在に説くことができるのである」

「日月の光明の能く諸(もろもろ)の幽冥(ゆうみょう)を除くが如く、斯(こ)の人世間に行じて能く衆生の闇を滅し」=「太陽や月の光が世界の暗闇を除いていくように、この全権大使は人々の心の闇を除いていく」

 尊きお師匠さま、すなわちお釈迦さまこそ、時間と空間を超越してすべての仏さまを統一される「久遠本仏」である。そして、末法に遣わされた全権大使こそ、上行菩薩の応現(おうげん)・日蓮聖人だった。言うなれば、お師匠さまによって書かれた「法華経」という台本通りに、末法という舞台(時代)で命を惜しまずその役割を演じられたのだ。

 この世の本当の姿は、誰もが仏さまの種を持ち、いつでも仏の働きをなすことができるという「絶対の平等と永遠の命」の世界。日蓮聖人が提唱された理想も、聖人の行動自体も、法華経の世界そのままである。

 尊きお師匠さまが姿を隠されて二千二百年、末法の始め、日本の国に日蓮聖人は登場された。そして時の政治権力者に対し『立正安国論』を提出し、「すべての人間は、絶対の平等と永遠の命を心の柱として生きるべきである」と国を諫(いさ)められた。この「心の柱」によって社会の立て直しが行われ、国そのものが「光と風の世界」になると示されたのだ。

 本年、平成二十一年、西暦二〇〇九年は、日蓮聖人が『立正安国論』を奏進されてから七百五十年に当たる。この大きな節目に、この世界を「そらや愛やりんごや風 すべての勢力のたのしい根源 万象同帰のそのいみじい生物の名」の世界にすべく、皆さんが相携えて立ち上がって下さったなら、お釈迦さまの弟子としてこれ以上の喜びがあるだろうか。

 どうか皆さん「すべての人間は、絶対の平等と永遠の命を心の柱として生きるべきである」という心の立て直しに、お力をお貸し下さい!

阿難 合掌

(いつでもそばに 我聞の章/おわり)

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