丸い頭巾(ずきん)をかぶって右手に小槌(こづち)、左手に袋を担(にな)い、二つの俵(たわら)の上に立つ笑顔の大黒様は、元をたどるとインドの神様です。
仏法を護り、飯食(はんじき)ゆたかに、福徳を給(たま)う神様として、仏教では「福徳円満自在菩薩(ふくとくえんまんじざいぼさつ)」の化身と説かれています。
ところで、大黒様の姿はいったい何を象徴しているかご存知ですか?働いて働いて真っ黒になる。つまり「大黒」になって働けば、足元から幸いが盛り上がってくることを表現しているのです。
また大黒様の持つ袋には人にとって大切な七つの徳、小槌は人々に希望を与えるものと伝えられています。小槌で物をたたく「コツコツ」という音。つまり、コツコツとたゆまず励むことが幸福への近道であり「何事も怠(なま)けていては、いつまでたっても幸せにはなれないよ」ということですね。
このように大黒様の姿は、私たちのあるべき精神の相を表現しています。楽にお金をもうけようとし、努力が愚かなことのように考えられる今の世の中だからこそ、心に留めておくべきでしょう。
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