仏さまのこばなし

いつそば「我聞の章」

やさしい法華経物語

ウッキ〜くん

妙ちゃん

グリトラクータ童話

「優れた者達よ。私は、多くの人々が劣った教えを望み、徳が薄く、汚れた考えを持っているのを見て『私は若くして修行し、この上ない正しい悟りを得た』と説いてきた。しかし実際には、私が悟りを得てから今日まで、はるか長い時間が経過していることは、先ほども述べたとおりである。ただ人々を導くための手だてとして、そのことは今まで明かさなかったのだ。

　私が説く教えはすべての人々を救い、迷いのない世界へと導くものである。ある時は自分の姿を説き、ある時は他人の姿を説き、またある時は自分自身の行いを示し、ある時は他人の行いを示して見せながら……。

　このように私が説く様々な教えはすべて真実であり、決していつわりではない。なぜなら私は仏の智恵によって、世界のありのままの姿を見ることが出来るからである。すなわち、生まれたり死んだりすることもなければ、消滅したり出現したりすることもなく、また世に存在するとか、悟りの境地に達するということでもない。真実でも虚でもなく、そのままのあり方でも、別のあり方でもない。それは、迷いの世界にいる者にとっては見ることのできない世界なのだ。

　人には様々な性質、様々な欲、様々な行いと思惑（しわく）がある。だからそれぞれに合ったたとえ話や物語を用いて、永遠の昔より、休むことなく人々を導いてきたのだ。私の寿命は今なお尽きておらず、どんな未来に至っても尽きることはない」

　こうしてお釈迦さまは、くり返しくり返し、ご自身の寿命が永遠であることを説き示されました。そしてこれからも私たちを導くために、教えを説き続けることを約束されるのです。