いつそば「観心の章」 |
お釈迦さまは、法華経のすべてを修行できなかったとしても、その一句一偈を真に受けとめて教えの通り実行したならば、その功徳は甚だ多いと述べられました。
それを聞いて薬王菩薩は、善を保ち悪を防ぐ「陀羅尼(だらに)」という呪文を唱え、法華経の説法者を護ることをお誓いになったのです。 次に勇勢菩薩(ゆうぜぼさつ)も、法華経を読誦(どくじゅ)し受持(じゅじ)する者を護るため陀羅尼を唱え、毘沙門天(びしゃもんてん)と持国天(じこくてん)も、別の陀羅尼を唱えて行者の擁護(おうご)を誓われました。 続いて十羅刹女(じゅうらせつにょ)、鬼子母神(きしもじん)とその子及び眷属(けんぞく)も、法華経の行者を護りたいと申し出て、法師のあら探しをするものがいたら、その手がかりを封じようと述べ、同じく陀羅尼を唱えて擁護を誓います。 さらに、その陀羅尼に従わず説法者を悩ませる者は、頭が阿梨樹(ありじゅ)の枝のように七つに割れ、その罪は、父母を殺す罪、油を虫ごと絞る罪、秤(はかり)をごまかして人をだます罪、提婆達多(だいばだった)が僧の和合を破る罪と同じく大罪であると述べました。 そうして十羅刹女は、自らも法華経を受持し、修行者が安穏を得て患いを離れ、毒薬の害を受けないように護りたいと、再び誓願の言葉を申し上げるのです。 すると、お釈迦さまは十羅刹女を大いにお誉めになり「ただ法華の名を受け継ぐ者を護るだけでもその福徳は量り知れず、ましてや教えを受持する者を護る功徳はそれ以上である」と、重ねて行者の擁護を勧められました。 |