いつそば「我聞の章」 |第28話「神々の誓い」 by Shougyo
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仏さまのこばなし

いつそば「我聞の章」

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グリトラクータ童話

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 日本では、正月を過ぎると新聞やテレビで「初詣参拝者ランキング」なるものが発表されるとか。関東では明治神宮や成田山不動尊、関西では伏見稲荷や八坂神社・住吉大社が例年上位に入るようだ。

 ちなみに成田山の祭神は不動明王、明治神宮は明治天皇、伏見稲荷は稲荷大明神(本地は仏教の守護神である荼吉尼天=だきにてん)、八坂神社も仏教の守護神の牛頭天王(ごずてんのう)、住吉大社は天照皇大神……。

 私の名は阿難(あなん)。今日もお釈迦さまの織りなす光と風の世界を旅している。

 果たして、これら神仏に家内安全、身体健全、商売繁盛、交通安全等々を祈ることが、正しい初詣の姿と言えるのだろうか?

 尊きお師匠さまが入滅された後、とりわけ教えを広めることが難しい時代に法華経を伝えようとする者がいれば、強い力を持つ魔物がこれを阻止しようとする。そんな時、こちらから頼まなくても守護して下さるのが守護神。つまり、私たちが法華経を広めることに専念できるよう、所願成就に働いて下さるのだ。そのことを忘れては本末転倒になり、神々が色々な願いを叶えて下さるとは到底思えない。

 法華経を広めるためには、大きな苦難に立ち向かう勇気が必要だ。しかし、勇気だけではどうしても乗り越えられない時のために、菩薩さまと神々は聖なる呪文「陀羅尼(だらに)」を明かして下さった。そして、未来の世も必ずや法華経の行者を守護すると、お師匠さまの前で誓いを立てられた。この陀羅尼には、お釈迦さまの大いなる慈悲に呼応した、菩薩さまと神々の誓いが込められている。

 さて、薬王菩薩と勇施菩薩(ゆうぜぼさつ)、持国天(じこくてん)と毘沙門天(びしゃもんてん)、鬼子母神(きしもじん)と十人の子供たちがそうした誓いを立てられたのだが、考えてみると少し不思議なことがある。東西南北の四方を護る「四天王」の内、東方の持国天と北方の毘沙門天は名乗りを上げられたが、南方と西方の増長天(ぞうちょうてん)・広目天(こうもくてん)が沈黙されているのはどういう訳だろう。

 これはまさしく、法華経の教えが華開く場所は、説かれた場所である北インドの霊鷲山(りょうじゅせん)から北東の方向であるとの暗示ではないだろうか。だからこそ、東方と北方の持国天・毘沙門天が特に名乗りを上げておられるとしたら……。

 お師匠さまは、教えも修行も正しく解釈されない時代「末法」を予見され、霊鷲山から北東に当たる日本の国に、法華経を広める全権大使として、久遠からの本弟子を遣わされた。まさしくその時、その国には、法華経の教えのままに生涯を送られた日蓮聖人という方が現れた。

 日蓮聖人も、菩薩さまや神々がお師匠さまと交わされた約束をよくご存知だった。だからこそ、どのような迫害にあおうとも苦しい時の神頼みではなく、逆に「法華経の行者を守護するとの誓いを忘れたのか」と、守護神を叱責されることさえあったのだ。

妙法蓮華経「陀羅尼品第二十六」より/つづく)

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