新年の祈り
世界中のありとあらゆるものは「縁(えん)」でつながっており、すべてがお互いに影響し合っています。そしてこのご縁を法華経をもって活用し、良い影響が全体に広がっていくよう願い行動することがお釈迦さまの教えです。
たとえばお寺に布施をするのは、法華経を修行するための道場を維持荘厳(しょうごん)するためで、僧侶に財施(ざいせ)をするのは、法を広める資金にしてもらうためです。言いかえれば、法華経修行が行われない場所は本来の寺院とは呼べず、法を伝える法施(ほうせ)をしない人を僧侶と呼ぶこともできません。
世界全体は縁によって互いにつながり成り立っているのですから、正しい法をもって世界の幸福を祈る精神がなければ、私たち一人一人の幸せもありえないでしょう。むしろ神々はこちらから頼まなくても法華経の行者を守護して下さる存在なので、ひたすら法華経を広めるために努力すればよいわけです。これこそ本当の「布施行(ふせぎょう)」といえるでしょう。むしろ神さまをわずかなお賽銭(さいせん)で自分のために働かせようとする方が、かえって失礼に当たるのではないでしょうか?お釈迦さまの悟りを願い求める神々が、そんな利己的な願いを受け入れるはずはありません。
一年の計は元旦にあり。そんな新たな気持ちで、私たちは初詣をします。しかし菩提寺のご本尊の前でお祈りする中身は、やはり「立正安国(りっしょうあんこく)」であり「世界平和」であるべきでしょう。なぜなら私たちの幸せは、世界の平和があってこそ約束されるからです。そしてお題目は世界の平和を祈るお釈迦さまの慈悲のお言葉であり、それをお唱えすることで神さまも正しい法を糧(かて)とし、ますます法華経の行者を守護する力を強められるのです。
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